陶吉郎窯 近藤賢
大堀相馬焼「innocent blue」酒器シリーズ
大人の逸品 最新号掲載
◯ 在庫あり |
在庫があります。2営業日以内に出荷いたします。(土日祝・ご注文日を含めず)お取り寄せの商品とともにご注文された場合は、商品が揃い次第の発送になります。 |
□ お取り寄せ |
お取り寄せ商品です。通常2週間以内にお届けいたします。2週間以上かかる場合には別途ご連絡いたします。 |
× 在庫なし |
売切れまたは期間終了のため、販売を中止しています。 |
△ 在庫わずか |
在庫わずかです。2営業日以内に出荷いたします。(土日祝・ご注文日を含めず)お取り寄せの商品とともにご注文された場合は、商品が揃い次第の発送になります。 |
大気や水を表現した酒器で、大堀相馬焼を未来へ繋ぐ
東日本大震災とその後の原発事故によって、存続の危機に陥った伝統工芸品がある。福島県浪江町の「大堀相馬焼」だ。この地で10代にわたり大堀相馬焼を手がける窯元・陶吉郎窯の近藤賢さんは、失われかけたこの焼きものを後世に残そうと奮闘する一人である。
「大堀相馬焼のバトンを繋いでいかなければという使命感と、大好きな作陶を続けたいという純粋な思いを胸に、父と二人三脚で再興を目指しました」(近藤さん)
避難区域となった浪江町を出て、いわき市に仮の工房を構えた近藤さんは、大堀相馬焼の魅力を発信すべく精力的に活動を広げ、日展の工芸美術部門入選、日本現代工芸美術展入賞などを果たした。平成29年には、伝統技術で新しいモノ作りに挑む「匠」を応援する大手自動車ブランド主催のプロジェクト「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT」で、見事福島県代表に選出された。
そこで生まれたのが本品だ。もともと観賞用オブジェとして制作していた「innocent blue」シリーズを、ふだん使いできる酒器にアレンジした。
独特な流線型は大気や水の流れを表現したもの。ろくろで陶土を円錐形に整えた後、あえて手で歪みをつける。それにより手指がフィットして持ちやすくなるだけでなく、その凹凸に合わせて釉薬の濃淡ができ、さながら波紋のような表情が生まれるのだ。
酒杯は大きく口が開いた形状で、香りが立ちにくい冷酒も風味豊かに味わえる。飲み口や片口の注ぎ口は薄く仕上げ、口当たりのよさや注ぎやすさを追求。その印象的な意匠と考え抜かれた使い心地は、プロジェクトのラストを飾る商談会で大いに注目を浴びたという。
「窯元は散り散りになりましたが、作り続けてさえいれば受け継がれていくと思います。今までどおりにいかないこともチャンスと捉え、進んでいきたいです」と近藤さん。
そんな作り手の意がこもった器なら、注ぐ酒も一段と旨く感じる。