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BAR CINEMA~この映画に乾杯!(第5回)『お熱いのがお好き』 ――「マンハッタンにチェリー」はスイートな証

カテゴリ | BAR CINEMA~この映画に乾杯!

2014/5/23

BAR CINEMA~この映画に乾杯!(第5回)『お熱いのがお好き』 ――「マンハッタンにチェリー」はスイートな証

第5回:お熱いのがお好き
――「マンハッタンにチェリー」はスイートな証

BAR CINEMAへようこそ。

このバーでは、皆さまの記憶に残る映画の名シーンを彩った素敵なお酒を、映画の時代背景、お酒の由緒・成り立ちと合わせてご紹介し、ご賞味いただきます。

現在のスタンダードレシピは、氷を入れたミキシンググラスにアンゴスチュラビターズをひと振り垂らし、そこにライウイスキー4分の3、スイートベルモット4分の1を注いでステア(※当コラム第2回を参照)。グラスに注いでマラスキーノチェリーをあしらいます。ライウイスキーの代わりにカナディアンウイスキーを使うこともあります。禁酒法時代はアメリカ産のウイスキーが手に入りにくかったので、カナディアンウイスキーを使用したのが今に続いているのだろうと思います。

Do you still have a bottle of vermouth?
We got a bourbon. We can make Manhattans.

マリリン・モンローのむっちりしたセクシーさと愛らしさが光るラブ・コメディです。1959年に公開されたモノクロ映画ですが、当時32歳だったモンローの魅力が全開、とにかく、かわいい! 甘い歌声もキュートでたまりません!!

物語は1929年、禁酒法時代のシカゴから始まります。禁酒法は1920~1933年に施行され、飲用のアルコールの製造、販売、輸送を禁じた法律です。そして、シカゴと言えば、映画「アンタッチャブル」などでも有名なギャング、アル・カポネが暗躍した街。密造酒を巡ってのギャング同士の抗争や、警察・国税局の摘発など、ギャング映画の定番のお題を、この映画ではパロディにしています。

もぐりの酒場のビッグバンドでテナーサックスを吹くジョー(トニー・カーティス)と、ベースを弾くジェリー(ジャック・レモン)。この酒場が警察の手入れにあってふたりは失業し、次の仕事に向かうためにクルマを借りようとガレージに行ったところで、偶然、ギャングの殺人を目撃。追われる身となってしまう。折しも、フロリダ州マイアミへと向かう女性だけのバンドがサックスとベースに欠員が出ており、ふたりは女装してそのバンドに潜り込み、寝台列車でシカゴからの逃避をはかる。

ジョー→ジョセフィンとジェリー→ダフネが列車の女子トイレに入ると、シカゴの駅で見た魅力的な女性がスキットルボトルからバーボンを飲んでいた。彼女はバンドでウクレレと歌を担当するシュガー(マリリン・モンロー)だと自己紹介する。シュガーはストッキングにスキットルボトルを隠して立ち去るが、その後、車内でのバンド練習の最中にそのボトルを落としてしまう。このバンドではお酒と男は厳禁。シュガーは前にも飲酒が見つかっていたため、次は解雇となる。そこでダフネが、そのウイスキーは自分のものだと言い、シュガーの窮地を救ったのだった。

その深夜、シュガーはネグリジェ姿(とってもセクシー!)でダフネの寝台に行き、かばってくれたお礼を言う。シュガーと密室空間でふたりきりになったダフネ=ジェリーは体温&テンションが急上昇! 下段の寝台で眠るジョセフィン=ジョーの鞄からバーボンのボトルを取り出し、ふたりだけでパーティーを!というところで……、物音に気付いたメンバー(ローラ)が「お仲間に入れて」とやってくる。

ここでシュガーが発するのが上記の英語の台詞です(英語字幕を確認できなかったので、間違っていたらすいません……)。
「(ローラ)ベルモット まだある?」
「何で?」」ときくダフネに対して、「マンハッタン 作るの」とシュガーは続けます。さらにカクテルシェーカー、栓抜き(コークスクリュー)、紙コップ、氷を持ってきて!と、ほかのバンドメンバーも巻き込んで、深夜急行の寝台はパーティーに盛り上がっていきます。
さらに、下で寝ているジョセフィンに「(マラスキーノ)チェリー 持っている?」ときくメンバーもいたり、カクテルのマンハッタン作りは本格的です。
しかし、「シェイカーよ」と言って持ってこられたのは、なんとゴム製の水枕でした……。
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    映画では、このようなゴム製の水枕が登場しました。遊びでこの水枕を使ってマンハッタンを作り、コラムの担当編集に飲ませてみたところ、「ゴム臭はしなかった」とのこと。映画の後半には、失恋したシュガーが「急にお酒が飲みたくなって」とダフネにバーボンをもらいに行くと、ダフネが水枕を手渡すというシーンがありますが、たぶん、このお酒もゴム臭はしなかっただろうと思います(笑い)。

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    左から、アメリカ産ライウイスキーのオーバーホルト、イタリア産スイートベルモットのカルパノ・アンティカフォーミュラ、アンゴスチュラビターズ。

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    映画のシーンはこんな感じでした。バドとバーテンダーの会話には「マティーニ」という単語は出てきませんが、映像を見れば明らかにマティーニです。このとき、カウンターの向こうからひとりの女性(こちらも酔っている)が声をかけてきて、バドにラムコリンズをおねだりします。バドは彼女の分の注文と一緒に、「こっちも」と8杯目!を注文するのでした。

酒を彩る器

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