京都府 京都市「リンクル織り/財木」
カテゴリ | メイドインニッポン紀行
2015/11/10

伝統ある西陣の革新的な生地 リンクル織り/財木
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西陣には絹織物に関わるあらゆる職人がいる。
写真はリンクル織り用の糸の染色を請け負う國井染工。丁寧な仕事に定評がある。 -
常に最先端を走ってきた西陣
京の町の北西部に、繊維業者が密集する一角がある。高級絹織物の代名詞でもある西陣だ。千年以上も日本の中心であり続けた京都は、織物づくりでも最高の材料や技術が集まり「西陣で織れぬ生地はない」と言われたほど。
伝統という言葉がいかにも似合いそうな町だが、じつは進取の気性にも富む。遣唐使の時代から明治の文明開化に至るまで、舶来の新技術を真っ先に取り入れたのは西陣の職人たちだった。
昭和6年創業の株式会社財木が、従来のプリーツ生地に一工夫加えた「リンクル織り」も、西陣伝統の挑戦魂から生まれた新感覚の生地だ。
西陣を代表する技法のひとつに、お召し織りがある。糊で固めた強撚糸を緯糸の要所ごとに織り込む。できあがった生地に蒸気をかけると糊が溶け、撚りの回転が解放される。その結果、生地に規則的な縦しぼが生じる。独特の手触りが魅力の高級生地だ。
しぼを生む強撚の緯糸を、弾力性に富んだ化学繊維に置き換え、絹生地により軽やかな膨らみを持たせたものがリンクル織りである。 -
リンクルの織りがプログラムされたジャカード織機。微調整が欠かせない。
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西陣の繊維関係者が参拝する今宮神社。末社に織姫社がある。毎年10月にはネクタイ供養も行われる。参道茶屋のあぶり餅でもおなじみ。
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リンクル織りの柄は、色糸を組み合わせて表現する。糸の色と織り上がりの色はやや異なるので、デリケートな調子合わせが必要に。
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ベースは袋状になった二重の生地と一重の生地が連続する風通織り。緯糸の要所部分には丈夫で伸縮性の高い化学繊維が配されている。
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端正なしぼを出すには端かがりも重要。確かなミシン技術でリンクル織りの格調を守るのは三浦縫製。